牧阿佐美バレエ団のくるみ割り人形を観てきました。
牧のくるみというと、カーター版の印象が強く、三谷版に改訂されてからというものの、観る度に懐かしく感じることが多かったのですが、今日はあまりそれを感じませんでした。それだけ、演出がこなれてきたということなのではないでしょうか。
初演では、とても長く退屈に感じた道行きの場面も、飽きを感じることなく展開するようになっていました。プロローグにおいて、ドロッセルマイヤーの甥に踊らせるストーリー作りは、クララが踊る可愛らしい場面が減ってしまいますが、雪の場面で長く踊ることを考えると我慢どころなのかもしれません。コロンビーヌとハレーキン、とても良かったと思います。ただ、曲間のお客様の動き、大人達がかけだしてくるようなところがあり、ちょっと、ぎこちなさがあるかなぁ、などと感じました。
雪への大道具の展開も(たぶん変わった)良くなったと思いました。今日のクララは4年生だとか。王子とのアダージオをしっかりとこなすテクニックを備えていて、雰囲気もあって、とても4年生には見えませんでした。雪のコールドは、かつては揃わず、幾何学的な面白みが感じられなかったのですが、振付が整理されて、楽しめました。雪の女王も安心して観ていられました。このくるみでは、雪がクララを凍えさせるというような設定ではなく、とても楽しい雰囲気に作っていました。高い位置に軽いスモークをかけ、雪にしては少し黄色めの照明をサイドからきつく当てる手法は、キラキラと輝きのある雰囲気を醸しだし、良かったと思います。ただ、雪の女王やコールドのニコニコとした笑いは、ちょっと違和感も感じました。
さて、序曲の時から、どうもオーケストラの音に濁りを感じたのですが、曲が進むにつれて、さらに気になり出しました。ねずみとの戦いの場面では金管のアンサンブルが、12時の時報はパーカッションの音が(これは演出なのかもしれませんが嫌な音でした)、そしてチャイナ・・・あのフルートの出だしはないでしょう(ピッコロは良かったですが・・・)。ずっと、音楽と踊りのリズムが合わなかったように思いました。さらに、花のワルツの木管掛け合い・・・。7連符をちゃんと吹いてよ! 夜に北ドイツ放送交響楽団の演奏をやっていて、つい比べてしまいました。
田中祐子さんと菊池研さんのパ・ド・ドゥ。出だしのアダージオで、どうも調子が悪いのかなぁ、という感想を持ちました。サイドから強めに当てる照明も、この場面では田中さんの足に不要なコントラストを与えてしまい、気の毒でした。どうも、私は好きにはなれませんでした。しかし、ソロはそれぞれ流石だなというものを感じさせてくれ、コーダも、最初は揃わなかったものの、きっちりまとめたという感じでした。
新国立とどちらに行くかと迷っての牧。久々に満足のいくくるみでした。
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