新聞を読んでいると、「メガは100万」とか、「ナノは10億分の1」といった表記をよく目にします。
たとえば、最近の記事では、
パソコン内部の記憶装置をHDDから64メガ(メガは100万)バイトのフラッシュメモリーに置き換え、シンクライアント端末として利用する。(日経)
がんの腫瘍(しゅよう)の血管には、普通の血管にはない直径数百ナノ(ナノは10億分の1)・メートルの穴が開いている。(読売)
そのたびに、「そんなことを書くのだろう」「煩わしくて仕方がない」と思います。「100万分」「10億分の1」と書くことは、読者にとってその大きさをイメージするのにどの程度の意味があるのでしょうか?
パソコンのハードディスクの容量として、64Mバイトと言われれば「ああ、あのくらいの容量か」とわかる人にはわかるし、逆に6,400万バイトだと言われてその大きさをイメージできる人はいないと思います。nmについても同様です。
また、「メガは100万」というのは正しいですが、通常、「MByteは100万バイト」ではありません。コンピュータ向けに使われる場合は、2進数を基本とするため、1,048,576バイトなのです(Wikipedia)。
それから、「ヘクト」という接頭辞は、「メガ」や「ナノ」よりずっとマイナーなはずなのですが、気象関係の記事で、たとえば、
また台風の規模も、最大中心気圧がカトリーナの902ヘクト・パスカルに対し、伊勢湾台風は894ヘクト・パスカル。(読売)
といった形でよく使われます。しかし、「ヘクトは100」と注意書きされることはまずありません。「ヘクタール(ha)」を小学校で習うからでしょうか?
教科書に出てくる、出てこないを規準に考えるのであれば、MやnはSI単位系の接頭辞として教科書に出てくるのです。「教科書に出てくると言っても、高校の教科書じゃないの」という反論があるかもしれませんが、それなら「パスカル」は高校になって初めてならう単位ですし、そもそも「バイト」はSI単位系ですらなく、教科書に出てくる可能性は低いのです。もしも、読者のことを思って、注意書きを添えるとしたら、「バイト (byte) は、デジタルコンピュータの情報の大きさを表すために使われる単位である」と、解説することの方が重要なのではないでしょうか?
さらに言うと、教科書には推奨されない、ccや馬力といった、SI単位系ではない単位が、
エンジンは、1,600ccで、125馬力。(読売)
といった形で常識的に出てくるのです。
結局のところ、新聞記者の皆さんは、単位の本来の意味など理解せず、読者に本当に伝えるべきことを考えることもせず、わけもわからない慣習で注釈をつけているのではないでしょうか? 度量衡は、国を形作る上での基本なのですが・・・
この件、調べていて面白いと思ったサイトをいくつか紹介します。
「高校物理教科書の不思議-なぜ大学生たちは計算式しか書かないのか-」
「算数、数学 これは使える・・・かな?」
「10の整数乗倍を表わす接頭語」
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.b-daisy.com/mt/mt-tb.cgi/91