研究会の報告書では、インターネットを利用した選挙運動の主体は制限せず、第三者による選挙運動も解禁するとしている。
現行の公職選挙法では、電話を使った選挙運動について第三者による選挙運動が許されているが、これはむしろ例外的で、例えばビラを作成して特定の候補を支援するといったことは許されていない。
現状、インターネットによる選挙運動が制限できるのは、全て禁止されているからできるのであって、いずれの選挙運動も禁止されていると周知されているからである。
ポスターによる選挙運動を制限できるのは、候補者個人のポスターが公営掲示板にのみ許されていて、それ以外は全て禁止されていると周知されているからである。
これが、研究会報告書のように、どのサーバーからでも発信することを許す形でインターネットを利用した選挙運動を許したら、まったく取り締まりが不可能な状態になると考えられる。研究会報告書では、解禁の条件として、ホームページ開設責任者のメールアドレスを明示するとあるが、選挙違反の抑制に働くとはとても思えない。
一般に、インターネット上での議論は加熱しやすく、誹謗中傷などの問題も指摘されている。まして、選挙が絡んだ場合、その危険性はなおさらと考えられる。
しかし、インターネット・プロバイダは、選挙運動という利用目的に特化したサービスを提供しているわけではない、サービス利用者が公職選挙法を遵守していることを、インターネット・プロバイダに監視させることは不可能なことである。特定候補を誹謗中傷した文書であるか否かを判断させることは不可能であり、選挙運動に関するログを保存させることも難しい。
しかし、公営サーバーを通じてのみ発信を許すとしたら、まったく別の環境になる。つまり、発信される内容については、選挙管理委員会の管理下でログを保存でき、誹謗中傷などの証拠保全が可能になるのである。また、公営サーバー以外のサーバーから発信された情報は全て違反ということになるから、司法当局による取り締まりも容易なはずである。
そして、公営サーバーを通じた選挙運動は解禁という例外により、第三者は、応援したい候補者に与えられた公営サーバーを使って選挙運動をすればいいのであって、掲示板に応援メッセージを投稿することも、メールフォームを使って推薦の電子メールを発信することも解禁できるのである。
第三者による選挙運動をインターネット上でも解禁すれば、政策論議が活発化して、政治への関心が高まると考えられるが、選挙の公正を確保するためには、第三者による選挙運動についても、公営サーバーに限定した情報発信に規制する必要があると考える。
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