研究会報告書では、「第一章 現状の分析」にて、インターネットの現状を分析している。
まず、インターネットについて「インターネットとは、IP(Internet Protocol)というプロトコル(通信規約)を使用するコンピュータネットワークを指すものである。」と定義している。ここに、異論を挟むところはない。
次に、「2 インターネットサービスについて」という題目で、インターネットを「サービス」の形態で分析しているが、このあたりから、この研究会の問題を感じる。それは、この研究会が、インターネットをひとつの情報伝達の媒体であるとの捉え方で議論せず、「サービス」すなわちホームページやメールといった「利用形態」で議論していることである。
既存の情報伝達のインフラを例に考えると、個々のサービスに焦点を当てた議論では狭小で、媒体としての特徴を捉えた議論が必要であることが理解しやすい。
既存の情報伝達の媒体としては、郵便ネットワーク、放送ネットワーク、電話回線ネットワークなどが挙げられよう。
そして、郵便ネットワークを使ったサービスには、はがきや封書、小包などがある。放送ネットワークを使ったサービスには、ラジオやテレビが代表的であるが、有線放送や構内放送も考えられる。そして、電話回線ネットワークでは、電話の他に電報、Faxがあげられる。
ここで、それぞれの情報伝達のインフラを選挙運動への利用を認める場合、例えば郵便ネットワークについては、どのようなはがきなら認められるかという議論は意味がない。郵便局を介して紙やモノを運んでもらうという情報伝達の媒体が、選挙運動でどのような手段に利用できるか、公正な選挙を実現するために何を規制したらよいかを議論するべきである。
その結果として、投票を依頼するはがきという手段がリストアップされ、その枚数を規制するという議論になるはずである。
放送ネットワークについても同様である。どのようなテレビ放送ならば許されるか、それを議論しても無駄ということは明白で、放送局を通じて不特定多数に映像を送るという媒体の特徴を理解した上で、政見放送という手段がリストアップされ、公共放送からだけ放映させるという議論になる。
電話については、どのような電話が許されるかの議論は無意味で、電話局の交換機を通じて音声を送るという媒体の特徴を理解した上で、肉声以外の音声を送ってFax文書は送ってはならないという議論になる。
私は、例に示した既存の媒体と同様の整理をインターネットについて行うと、サーバーを通じてデータを発信するというところに、情報伝達の媒体としての特徴があると考える。
しかし、研究会の報告書や議事録を読む限り、メンバーがこの特徴を意識して、選挙運動への解禁を議論したように思えない。
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