研究会が公営制度を否定した背景

議事録によると、研究会で公営制度が初めて議論されたのは、平成14年2月15日に開かれた第6回研究会で、冒頭の論点整理において、事務局担当者から、以下のような発言で切り出されている。
「「公営制度を設けるのか」という論点でございます。インターネットの利用についても無料ではできず、公営制度を考えるのかというような問題意識。候補者に対して選管から使えるメモリ量について一定の割り当てを行ったらどうかとか、公営で一括管理することによりセキュリティー面での充実を図られるのではないかとか(後略)」
私が考えている公営サーバーの効用のいくつかを指摘しており、公営制度を必要とする意見の存在を少なくとも研究会の事務局が認知していたことを確認できる。
ところが、この後、事務局は、公営制度の趣旨や選挙無効の可能性などを、長々と説明している。敢えて、事務局がこのような説明をしたことについて、公営制度で新たに発生する行政側の責任を回避したいとの意図を感じるが、その詳細と私の反論は後で述べることにする。
そして、事務局によって説明された内容は、研究会が公営制度否定の根拠とした「候補者のホームページが画一化され、候補者の個性的な訴えかけが不可能になる問題点」を直接指摘しているわけではない。
それでは、なぜ、研究会はこのような根拠を考え、公営制度を否定する結論に至ったのか? それは、千代田区選挙管理委員会事務局長曳地由紀雄委員の以下の発言から推察することができる。
「こちらで入力してつくるとなると、選挙運動期間中は絶対にできないですね。そうすると、人と経費の問題で」
つまり、この研究会のメンバーの中で、公営制度を設けるのに当たって、候補者にサーバーを提供するという発想はなく、選挙公報と同じように、候補者から提出された原稿に基づき、コンテンツの作成を公営で行うことを考えていたのである。
報告書案が作成された後、第11回、第12回、第13回と、たびたび、公設制度についての議論が蒸し返されるが、結局、候補者に公設サーバーを提供するという発想を議論されることはなかった。
私は、研究会が公営制度を否定した背景には、インターネットという情報交換手段について議論するのではなく、インターネットで発信する情報そのものを議論したことにあると考える。
つまり、公営制度について、情報交換の場を提供するという議論ができず、ホームページを作成するという議論に終始してしまったのである。
次節では、このような議論になった理由を検証するため、研究会がインターネットをどのように捉えていたかを検証したいと思う。


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