研究会のインターネットを選挙運動に導入した場合の課題認識をさらに検証しよう。
研究会報告書では、「インターネットの悪用」について、以下のように記述している。
「特典付きサイトによる買収問題や、候補者のドメイン名に関するトラブルが顕在化するおそれがある。」
「選挙期間という短期間において、ホームページの内容が書き換えられたり、インターネットによって誹謗中傷が行われたり、他人になりすまして虚偽の情報を流されたりすると、有権者が惑わされる危険性が高く、候補者に与えるダメージが大きい。」
インターネット犯罪に関する議論をしたとみられる第8回研究会議事録が、発表者の依頼で非公開になっているため、一部、推論も入るが、以下に検証していきたい。
まず、特典付きのサイトについて「買収」という表現を使っているが、候補者のサイトにアクセスした有権者に金品を配るという行為を指しているのだろうか。しかし、この取り締まりの対象はインターネット上の行為でなく、金品の授受のはずだ。アフィリエイトを使って利益供与することを考えていたら委員の方々を見直してしまうが、候補者のサイトから買収相手のサイトに誘導するという買収がありうるのか? 何が問題なのかがわからなかった。
次に候補者のドメイン名についてであるが、これは確かに早い者勝ちだから、新たにサイトを開設しようとする者には不利になる。したがって、「ドメイン名について、候補者間の公平性を保つための課題が存在する」というのであれば、理解できる。しかし、ドメイン名は「悪用」の対象だろうか? 特定の候補の名前を登録して、候補の活動を妨害する行為を想定しているのだろうか? 知的財産権の問題で「インターネットの悪用」という観点ではピントがずれているように感じる。
次のセンテンスであるが、ホームページの改ざんや誹謗中傷、なりすましといった課題(問題?)がリストアップされているが、これらは、インターネットにおける一般的な問題であるし、インターネット以外の媒体でも起こっている選挙妨害でもある。もしも、これらの問題が、他の一般的な問題と同様の方法で解決できるのであれば、問題でも課題でもないはずだ。
したがって、インターネットの利用を選挙運動に解禁した場合に考えられる犯罪行為で、これまでの一般論で防止できることと、できないことを選別することが重要だと考えるが、この研究会報告書では明確になっていない。「サイバーテロ」の項で述べた「海外からの選挙妨害」といった問題は、他の一般的な議論ではなかったことで、その防止は議論しておくべき重要課題だと思う。
こういった視点のないところが、この研究会報告書の最も問題なところで、公営サーバーについて意見が割れることになった背景ではないかと考える。
前の項(サイバーテロ) | メイン | 次の項(金がかからないという迷信)
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.b-daisy.com/mt/mt-tb.cgi/126